賃借権の無断転貸、無断譲渡を理由に賃貸借契約を解除できるか?

契約の解除




Aさんが経営しているアパートには、賃貸借契約を締結して居住しているB氏がいました。

B氏は契約当初は自分一人でアパートに住んでいましたが、いつの間にか見かけなくなってしまいました。

一方、B氏が契約中の部屋には、代わりに同年代の友人か知人らしき者が頻繁に出入りしています

どうやらその者がB氏からその部屋を借りて住んでいるらしいことが分かりました。

AさんはBさんに転貸(又貸し)の承諾をした覚えはありません。

Aさんとしては、賃貸借契約上にも定めた無断転貸の禁止を理由に、B氏との契約を解除し転借している人物に退去してもらいたいと考えていますが、それは可能でしょうか?



賃借権の無断転貸、無断譲渡でも「背信的行為と認めるに足らない特段の事情」がある場合は、解除できない

 

賃借権の無断転貸、無断譲渡の場合、賃貸人は原則として賃貸借契約を解除することができます

ただ、例外として「背信的行為と認めるに足らない特段の事情」がある場合は解除できないとされています。

では、「背信的行為と認めるに足らない特段の事情」とは何かということになりますが、例えば、B氏がもともとその部屋に一緒に住んでいた母親がいたが、B氏が転勤で別の地に行くことになってしまい、その間、母親一人で住まわせていたなどという場合は、それに当たる可能性が高いと思われます。

一方「友人か知人」ならばどうなのか、ということですが、賃借人と転借人の関係のみで背信的行使かどうかは判断されるものではなく、部屋の使用状況、転貸することになった経緯、背景、諸事情など全体的客観的に判断されることになります

無断転借人から賃料を直接的に受領することで、転貸を承諾したとみなされることも

 

また、AさんがB氏の「友人か知人」がどうやらB氏から部屋を借りて住んでいると知りながら、「友人か知人」から直接受領をしていたとします。

そのような場合、AさんはB氏の転貸を黙示的承諾していたと見做されることもあるので注意が必要です。

賃借権の無断転貸、無断譲渡を確認したら速やかに行っておきたいこと

 

賃借権の無断転貸、無断譲渡を知りながら、その状態を放置しておくことは、いわば黙認していたと言われても仕方がありません。

無断転貸、無断譲渡を認識した初期の段階で対応することが必要です。

まずは媒介の不動産業者、管理会社に相談し、賃貸借契約を締結している賃借人から事情を聴くとともに、賃借権の無断転貸、無断譲渡を認めないという意思表示を行うことが肝要です。

その上で、「背信的行為と認めるに足らない特段の事情」がないと思われるときは、契約の解除を主張することになります。

無断転貸、無断譲渡の状況が時間的に放置されればされるほど、転借人もその部屋の使用状況も深くなり、引き続き使用を望むが故に紛争に発展する可能性は高まります。

また、無断転貸が将来的にどのようなリスクを抱えることになるかはこちらをご参照ください。

『家賃滞納は、ほんの序の口!「無断転貸」の辿る過酷な現実』