家賃滞納は序の口!「無断転貸」の辿る過酷な現実とは?




最近、居住用建物の賃貸借で無断転貸が行われる背景の一つに、家賃保証会社(賃貸保証会社)の審査が厳しいために、ある属性の人によっては希望する部屋が借りられないということがあげられます。

彼ら彼女らは、自らも審査に通りにくいことを自覚しており、初めから画策して希望する部屋に入居することを試みます。

その手法の一つが無断転貸というわけです。まあ苦肉の策というわけですね。

しかしこれはもちろん違反行為。

そしてこの無断転貸は、見過ごしてしまったり、放置しておくととんでもない問題を引き起こします。

その辺りについて、対策と共に述べます。



「無断転貸」のよくあるやり方

 

「無断転貸」は行う側からすると意外に気楽な行為

彼ら彼女らの言葉でいうならば「名義を借りる」です

手順としては、

審査に通りやすそうな「属性の良い」人物を探し、

その人物との良好な関係性を構築、

自分自身もきちんと一定以上の安定的な収入があることを示したうえで、

「名義貸し」を依頼

あくまでも「名義を借りる」だけで迷惑をかけることはないことを強調。

その人物を伴って物件の内覧を行い、

その人物に賃貸借契約を結んでもらう

もちろん不動産業者にも貸主にも内緒。

大抵その時点では彼ら彼女らにはそれなりの収入があります

であるからこそ、少しグレードおよび賃料高めの部屋に居住したい。

しかし審査が厳しい。

審査が彼ら彼女らに厳しい理由は数通りです。

クレジットカードの事故歴があるが信販系の保証会社の保証契約を必要とする物件に入居を希望している。

所得証明、納税証明など収入に関する証明書類が得られない。

反社勢力はもちろん、入居審査でNGとされる職業に就いている、などなど。

で、名義を借りる。

彼ら彼女らの多くはその行為を決して悪いことだとは思っていません。

あくまでも「生活の知恵」であり、違反行為かどうかはまた別の話なのです。

【賃貸物件】「無断転貸」「名義貸し」が辿るその後

 

入居した当初は名義を貸した人物も、借りた人物も問題を起こしません

家賃もきちんと入れます

しかし年月の経過と共に、事態は少しずつ変化します。

まず名義の貸し借りを行った両者、つまり無断転貸人と無断転借人の関係が疎遠になります

借りている側、無断転借人の不安定な仕事上、収入がグラつきはじめます。

家賃滞納が発生します。

そこではじめて無断転貸の実態が明らかになることが多いと思われます。

無断転貸人が家賃滞納を承知していないなど、無断転借人との関係が疎遠になっているがために意思疎通が図れないなど問題が顕在化します。

ただ、賃貸借契約の当事者である無断転貸人と連絡が取れる状態であったり、保証会社を入れていれば、その家賃滞納の問題はとりあえずクリアできるでしょう。

とはいえ、その後の契約解除、退去、原状回復等のことを考えるとやはり煩雑な経緯を辿ります。

また問題は、もっと深刻な事態となって顕れるケースも少なくありません

「無断転貸」「名義貸し」の過酷なパターン

 

無断転貸の実態が明らかになったとしても、賃貸借契約の当事者つまり無断転貸人と無断転借人つまり実際に居住していた人物と連絡等がつく状態であれば、まだ良い方といえます。

深刻なケースとしては次のような経過を辿ることがあります。

家賃滞納発生。

賃貸借契約の当事者(無断転貸人)に再三に渡り連絡を試みるが不通。(職場も転職している。本人はそもそも無断転貸しているため、当該賃貸物件には住んではいない等、通常よりも速やかに連絡を取れる方法が少なくなっている状態といえる)

賃貸人といえども賃貸借契約期間中に借主の承諾なくして開錠しての入室は不法行為となるので、家賃滞納を元に賃貸借契約の解除を行い、「明け渡し請求訴訟」を裁判所に提起、判決の言い渡しを得た上などで入室。

すると室内は家財道具一式そのままで、つまるところ入居者が行方不明の状態

ここではじめて無断転貸の事実が発覚。

それらの処理費(所有権の問題があるため即座に廃棄というわけにはいかない)、原状回復費用等の請求先がない状況となる。

このようなケースではその部屋を再び賃貸に出すまでに一定の労力と時間、費用を要することになります。

しかし、それでもまだマシといえるような過酷なケースも。

詳細はまた別の機会で書くとしても、無断転借人(実際の居住者)の自殺、孤独死などの場合です。

家賃滞納等が発生してしばらくした後に、マンションの近隣室の住人からの異臭の苦情を受け、警察官立ち合いの下に開錠、入室をした時点で発覚。

死亡推定日時よりかなりの日数が経過していたため、室内の汚損状況が著しいなど。

死亡者が無断転借人で、実際の契約の当事者と別人のため身元が分からず、判明するまで数日またそれ以上かかるということもあります。

そして契約の当事者つまり無断転貸人は警察が探し出すまで連絡がつかないのです。

初心に帰る入居審査

 

このようなケースは枚挙に暇ないほどなのですが、では、どうしたら無断転貸を防げるのか?ということになります。

もちろん家賃保証会社(賃貸保証会社)の審査はある意味厳重です。

しかし、それは一つの側面で厳重であるというに過ぎません。

彼らの持つ基準はあくまで基準であって、それを通過する書類さえ整えば、ある意味フリーになるわけです。

そんなとき、実は本当の意味の入居審査とは入居希望者の「属性」よりも、その入居者希望者の入居を希望するに至るまでの「経緯」「背景」「動機」なのではないかと思います。

つまり入居希望者の整った書類よりも、その入居希望者の話をよく聞くことと言いますか。

たとえば、現在は○○に居住しているが、△△の近くの支店に転勤になったので、△△付近で部屋を探していた、とか、

現在は夫婦で住んでいるが、離婚して一人暮らしになるために1ルームで良くなった、など、

その部屋に入居を希望する必然性が感じ取れるような本人の「経緯」「背景」「動機」をヒヤリングするという非常に初歩的なところにあるように思います。

もちろん、このようなヒヤリングをきちんとできたからといって、無断転貸が完全に防げるとは思いませんが、やはり本人が居住目的でない場合で、それを本人が隠している場合のその話には、どこか違和感を覚えるものです。

仲介する不動産業者、管理会社、貸主ともども、そういう姿勢で保証会社とはまた別の角度から入居審査をしていきたいものです。