現状有姿で購入した中古住宅が雨漏り。修繕を売主業者に請求できるか




Aさんは、不動産業者が売主の築12年の一戸建ての中古住宅を購入しました。

売買契約書には「現状有姿」で引き渡す旨があります

Aさんは、不動産業者から

「中古住宅である以上、現状有姿は当たり前。だから新築より圧倒的に安いわけです」

との説明があり、見たところ築12年で比較的新しい中古住宅で目立った傷みもないことから購入を決めました。

しかし問題に気づいたのは中古住宅に引越しを終えてすぐのこと。

雨が降るたびに壁に薄っすらとシミが広がるのです。

工務店を呼んで調べてみると雨漏りしていることが発覚。

Aさんは、その中古住宅を購入してすぐのことですし、売主である不動産業者に修繕を求めました。

ところが、不動産業者は「現状有姿」を条件に販売しているのだから自分たちには修繕する義務はないとの一点張り。

Aさんは、瑕疵担保責任としての損害賠償請求を不動産業者にできるのでしょうか?



「瑕疵」と重要事項説明義務

 

新築住宅を購入して雨漏りがあったら、それは建物の「瑕疵」として、売主に損害賠償請求できるのは当然だと思います。

しかし、中古住宅。

しかも「現状有姿」、つまりそのままで売ることになりますが良いですか?との条件を飲んで売買契約をしています。

となると、欠陥があることを承知の上で購入したと言われても仕方ないのでしょうか?

住宅における「瑕疵」とは、その住宅に何らかの欠陥があることです。

では、そもそも欠陥とは、どんなことを欠陥とするのでしょうか?

それは、基本的にはその住宅が通常備えるべき品質や基本的な性能が基準になりますが、住宅そのものだけではなく、住宅の建っているエリアの環境や法律上の制限から「欠陥」が発生することも考えられます。

またよく巷で問題になる、いわゆる「心理的な瑕疵」も、住宅そのものの欠陥ではない「瑕疵」といえます。

例えば、自殺者が出た住宅は、リフォームしてどんなに住宅としての通常備えるべき品質や性能を回復あるいは向上させても、「気味が悪い」という人の心理に作用するマイナスの要素を、その住宅の「瑕疵」として扱うわけです。

そしてそれらの多くは売買契約する前に不動産業者に課せられている重要事項説明義務とのかねあいで問題となります

つまり、事前にその欠陥、瑕疵を説明し、合意をとりつけたかどうか?が問われることが多いのです。

買主「そんな欠陥があるなんて事前に聞いていないよ!聞いていたら買わなかったよ!」

およそ住宅の瑕疵をめぐるトラブルは買主のこんな主張からはじまるわけです。

「現状有姿」は事前に住宅の瑕疵について説明したことになるのか?

 

さて、そのように考えてみると、買主が購入する前に住宅の欠陥についてどのように説明を受けていたかということですね。

新築住宅と異なり、中古住宅の状態は様々。

新築では即座に欠陥とされるものも、中古住宅では買主が「知っていて納得」の状態であれば欠陥ではないといえます

では、売主である不動産業者が「現状有姿」で販売しますよ、という売買契約の取り決めは、欠陥を事前に説明したことになるのでしょうか?

「現状有姿」を条件に売買契約を結んだ場合、売主は瑕疵担保責任を負わないという考え方が成り立つのでしょうか?

その答えは、成り立つ場合もあり得る、というところ。

逆に言えば、成り立たない場合もあり得る、ということです。

「現状有姿」というだけでは、売主の責任を免れない場合もある

 

ポイントは、住宅が通常備えるべき品質や基本的な性能に関する欠陥かどうかということです。

例えば、中古住宅の付属物であるクーラーや照明器具。

これらに不具合があったとしてしても、それは住宅としての基本的な性能上問題ないといえます。

「まあ、住む分には別に問題ないでしょ」

という感じです。

床に多少のキズがあったり、壁紙に一部破れがあったり、これらは新築住宅ならば、さあ、すぐに直してくれといえるところですが、「現状有姿」の中古住宅となれば、そうもいえないでしょう。

中古住宅ならではのことでしょうし、それらの状態が「価格」にも反映されているというものです。

「現状有姿」といって、売主が瑕疵担保責任を免れ得るケースといえるでしょう。

ところが、Aさんの場合の「雨漏り」はどうでしょうか?

あるいは、躯体がシロアリ被害にあっている中古住宅であったら?

建物の基礎部分に重大な欠陥は?

それらは、「現状有姿」で事前に合意を取り付けられたといえる範疇でしょうか?

応えはノーです。

では違いは何か?

雨漏りにしても躯体の欠陥にしても、それらは住宅が通常備えるべき品質や基本的な性能、いうなれば、「まあ、住む分には問題ないでしょ」という基本を欠いているわけです。住む分に、問題ありなのです。

の基本を欠いている状態を「現状有姿」というだけで、売主と買主の間に、住宅の通常備えるべき品質や基本的な性能の部分で「瑕疵」についてまで合意形成がなされたとはいえないという考え方です。

端的に言えば、

「知っていたら買わなかったよ!」

というところです。

よって、Aさんの場合も売主である不動産業者に対して瑕疵担保責任における損害賠償請求が出来る可能性は高いといえます。