賃貸住宅管理業法とは?ポイントとなる条文を読む

賃貸住宅管理業法




聞いていい?
2020年6月12日に参院本会議で可決、成立した「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」、いわゆる「賃貸住宅管理業法」って、簡単に言うとどんな法律なの?
不動産のヒント
「賃貸住宅管理業法」は、ひとことで言えば賃貸住宅の家主、オーナーと、管理する不動産会社とのトラブルを減らすために制定された法律です。
聞いていい?
「賃貸住宅管理業法」のポイントは?
不動産のヒント
賃貸住宅の管理業に関して「登録制度」が作られました。
また、「管理受託契約」や「サブリース契約」を結ぶ際に、重要事項の説明と書面の交付が義務となりました。
聞いていい?
なるほど。確かに今まで、賃貸住宅の管理業者と大家さんのトラブルの話ってよく聞いたものね。
不動産のヒント
特に、サブリース契約では、借り上げの内容や期間、賃料の改正内容に関してトラブルが多発してました。
聞いていい?
ああ、知ってる!ずっと同じ賃料で借り上げてくれる、「家賃保証してくれる」って聞いていたのに、空室期間が長引いた途端、突然賃料を下げられるってヤツでしょ?
不動産のヒント
「賃貸住宅管理業法」では、そういった昨今問題化しているものも含めて、管理業者と家主の間のトラブルになるケースを減らそうということなんです。
聞いていい?
管理会社からすれば縛りがきつくなるんだね?業界からの反発はないの?
不動産のヒント
管理会社にもよりますけど、今まできちんと一定のルールが法律で担保されるということで、まじめにやって来た管理会社にとっては、むしろ歓迎すべきことなんですよ。
聞いていい?
はあ、そうなの?
不動産のヒント
はい。賃貸管理の業界は、今までいわば玉石混淆でした。
それが、「賃貸住宅管理業法」において登録制度が法制化されることで、透明性と信頼が高い管理会社と、そうでない会社の差別化が進むということですね。
このことは、家主や入居者が良質な管理会社が判断しやすくなるので、大きな意味があります。
聞いていい?
そうか・・・つまり、いい加減なことをしていた管理会社は淘汰されかねないってことだね。だからまじめにやってきた会社からすればウエルカムなんだな。
不動産のヒント
そういうことですね。「賃貸住宅管理業法」における登録制度では、例えば次のことが義務付けられます。

・業務管理者の選任
・管理受託契約締結前の重要事項説明
・財産の分別管理
・委託者への定期報告

聞いていい?
ふむふむ。ポイントとなるところの条文を見たいな?
不動産のヒント
はい、それでは「賃貸住宅管理業法」を大まかに理解する上で、ポイントとなる条文を順を追って見ていきたいと思います。



賃貸住宅管理業法における「賃貸住宅管理業」について

定義(第二条)

不動産のヒント

賃貸住宅管理業法は大きくまとめると二本立てです。

一つは「賃貸住宅管理業」について。もう一つはサブリースについてです。

第二条では、それらの定義を行っています。

「賃貸住宅管理業者」とは、この法律に則って賃貸住宅管理業を行う業者のことです。

いわゆるサブリース契約で管理を行う業者のことは、「特定転貸事業者」と言って区分けしています。

また、大家さんが「特定転貸事業者」と結ぶ契約のことを、「特定賃貸借契約」と言っていますね。

「賃貸住宅管理業」については第二章で第三条から第二十七条、「特定賃貸借契約」については、第三章で「特定賃貸借契約の適正化のための措置等」として第二十八条~第三十六条で規定しています。

第二条
3.この法律において「賃貸住宅管理業者」とは、次条第一項の登録を受けて賃貸住宅管理業を営む者をいう。

4.この法律において「特定賃貸借契約」とは、賃貸住宅の賃貸借契約(賃借人が人的関係、資本関係その 他の関係において賃貸人と密接な関係を有する者として国土交通省令で定める者であるものを除く。)で あって、賃借人が当該賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結されるものをいう。

5.この法律において「特定転貸事業者」とは、特定賃貸借契約に基づき賃借した賃貸住宅を第三者に転貸 する事業を営む者をいう。

登録について(第三条)

不動産のヒント
まずは、「賃貸住宅管理業」から見て行きます。

大きなポイントである賃貸管理業の登録の法制化については、第三条になります。

聞いていい?
今までも、国土交通省主体で登録制度ってあったよね?
不動産のヒント
そうですね。「任意」の登録制度として存在しました。それが「義務化」されるというこです。
第三条
賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない。ただし、その 事業の規模が、当該事業に係る賃貸住宅の戸数その他の事項を勘案して国土交通省令で定める規模未満で あるときは、この限りでない。
不動産のヒント
破産開始の手続きを受けて復権していない方や暴力団員は、登録が拒否される、登録は五年更新などなど、登録を受けられる要件が定められているので要確認です。
聞いていい?
そっか。宅建業免許と同じだね。ところで、「国土交通省令で定める規模未満であるときは、この限りでない」とあるけど、国土交通省令では具体的にどういう規模となっているの?
不動産のヒント

はい。この記事が書かれている2020年6月段階では、その省令はまだ出来ていません。この賃貸管理業法は1年以内の施行で、これから省令を詰めて行く段にあります。

しかし、今のところおよそ管理戸数200戸未満は登録義務がない、とされる可能性が高いようです。

 

業務管理者の選任について(第十二条)

不動産のヒント
業務管理者は、営業所ごと事務所ごとに置かなければなりません。
第十二条
賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、一人以上の第四項の規定に適合する者(以 下「業務管理者」という。)を選任して、当該営業所又は事務所における業務に関し、管理受託契約(管 理業務の委託を受けることを内容とする契約をいう。以下同じ。)の内容の明確性、管理業務として行う 賃貸住宅の維持保全の実施方法の妥当性その他の賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係 る事業の円滑な実施を確保するため必要な国土交通省令で定める事項についての管理及び監督に関する事務を行わせなければならない。
第十二条
4.業務管理者は、第六条第一項第一号から第七号までのいずれにも該当しない者で、賃貸住宅管理業者の 営業所又は事務所における業務に関し第一項に規定する事務を行うのに必要な知識及び能力を有する者と して賃貸住宅管理業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備えるものでなけれ ばならない。 
聞いていい?
国土交通省令で定める要件」って何よ?その省令は?
不動産のヒント

2020年6月段階ではまだ施行1年前で、省令は定められてません。これもこれから詰められる段階です。

ですが、宅地建物取引士あるいは賃貸不動産経営管理士など、相応の資格要件が付けられる可能性が高いようです。

聞いていい?
その場合、宅建業免許において名義となっている宅地建物取引士が、賃貸住宅管理業登録において兼任できるわけ?
不動産のヒント

そこは気になるところですが、取材では「兼任できない」可能性が十分ありそうです。

人材の確保の必要性が生じる会社も出てくることと思います。

管理受託契約の締結前の書面の交付について(第十三条)

不動産のヒント
見落としてはならないのが、「締結前」というところですね。
聞いていい?
「前」ね!
第十三条
賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人(賃貸住宅管理業者である者その他の管理業務に係る専門的知識及び経験を有すると認め られる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該管理受託契約を締結するまでに、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して 説明しなければならない。
不動産のヒント

国土交通省令はこれからとして、重要な事項は説明して、書面を交付しなければならないということですね。

書面の交付は要件付きで電磁的な方法でも可能となっています。

管理受託契約の締結時の書面の交付について( 第十四条)

不動産のヒント
締結「前」に説明し、書面を交付。そして、締結する時も重要なことは説明し、書面を交付しなければなりません(締結「前」の書面の準用可)。
第十四条
賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結したときは、管理業務を委託する賃貸住宅の賃貸人( 以下「委託者」という。)に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一管理業務の対象となる賃貸住宅
二管理業務の実施方法
三契約期間に関する事項
四報酬に関する事項
五契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
六その他国土交通省令で定める事項
2前条第二項の規定は、前項の規定による書面の交付について準用する。

分別管理について( 第十六条)

不動産のヒント

金銭の管理方法について規定されています。

会社の財産と、賃貸住宅管理において預かるお金について、「お財布」を分けて管理しなさい、ということですね。

聞いていい?
「財布」が一緒になっていると、管理会社が家賃や敷金などを使い込んでしまい、そのまま会社が倒産。家主も入居者も泣き寝入りなんて話もあるからなあ・・
第十六条
賃貸住宅管理業者は、管理受託契約に基づく管理業務(第二条第二項第二号に掲げるものに限る 。以下この条において同じ。)において受領する家賃、敷金、共益費その他の金銭を、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃、敷金、共益費その他の金銭と分別して管理しなければならない。

委託者への定期報告について(第二十条)

不動産のヒント
管理業者に大家さんへの報告義務が課せられます。
聞いていい?
基本中の基本のような気がするけど。というか、きちんと定期報告しない管理会社ってのもまだまだあるのかね?
第二十条
賃貸住宅管理業者は、管理業務の実施状況その他の国土交通省令で定める事項について、国土交通省令で定めるところにより、定期的に、委託者に報告しなればならない。

賃貸住宅管理業法における特定賃貸借契約について

不動産のヒント
ここからは、いわゆるサブリース契約に関する規定です。
聞いていい?
よっ!待ってました!

誇大広告等の禁止について(第二十八条)

不動産のヒント

まずは、広告について。

サブリースにおける二大トラブルの根源は、「広告やパンフレットで言っていることと違うじゃないか!」ということと、「営業マンが説明していたことと違うじゃないか!」というところにあります。

聞いていい?
それも、数年後とかに発覚するんだよね!
第二十八条
特定転貸事業者又は勧誘者(特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)(以下「特定転貸事業者等」という。)は、第二条第五項に規定する事業に係 る特定賃貸借契約の条件について広告をするときは、特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、賃貸住宅の維持保全の実施方法、特定賃貸借契約の解除に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

不当な勧誘等の禁止について(第二十九条)

第二十九条

特定転貸事業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者に対し、当該特定賃貸借契約に関する事項であって特定賃貸借契約の相手方 又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
二 前号に掲げるもののほか、特定賃貸借契約に関する行為であって、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるもの

広告にしても、勧誘にしても、嘘は言うな、本当のことを隠すなという話だよね

特定賃貸借契約の締結前の書面の交付)について(第三十条)

不動産のヒント
サブリース契約の場合も、締結「前」に書面の交付が義務付けられます。
聞いていい?
契約した後で、「そんな話聞いてないよ!」ってならないようにね。これは結構重要なことだよね。
第三十条
特定転貸事業者は、特定賃貸借契約を締結しようとするときは、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者(特定転貸事業者である者その他の特定賃貸借契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該特定賃貸借契約を締結するまでに、特 定賃貸借契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。

特定賃貸借契約に関する業務の停止等)について(第三十四条)

不動産のヒント
これらの規定に従わない場合、国土交通省により営業停止など厳しい処分を受けることになります。

また、同時に社名も公表されるので、会社としては結構なダメージを受けてしまいかねませんね。

第三十四条

国土交通大臣は、特定転貸事業者が第二十八条から第三十二条までの規定に違反した場合若しくは勧誘者が第二十八条若しくは第二十九条の規定に違反した場合において特定賃貸借契約の適正化を図 るため特に必要があると認めるとき、又は特定転貸事業者が前条第一項の規定による指示に従わないときは、その特定転貸事業者に対し、一年以内の期間を限り、特定賃貸借契約の締結について勧誘を行い若しくは勧誘者に勧誘を行わせることを停止し、又はその行う特定賃貸借契約に関する業務の全部若しくは一 部を停止すべきことを命ずることができる。

2 国土交通大臣は、勧誘者が第二十八条若しくは第二十九条の規定に違反した場合において特定賃貸借契 約の適正化を図るため特に必要があると認めるとき、又は勧誘者が前条第二項の規定による指示に従わないときは、その勧誘者に対し、一年以内の期間を限り、特定賃貸借契約の締結について勧誘を行うことを 停止すべきことを命ずることができる。

3 国土交通大臣は、前二項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。

賃貸住宅管理業法における罰則について

不動産のヒント
賃貸住宅管理業法には、懲役刑から罰金までの厳しい罰則規定があります。
聞いていい?
法律が制定された以上、「知らなかった」で済まされないからね。
第四十一条
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一第三条第一項の規定に違反して、賃貸住宅管理業を営んだとき。
二不正の手段により第三条第一項の登録を受けたとき。
三第十一条の規定に違反して、他人に賃貸住宅管理業を営ませたとき。
第四十二条
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一第二十三条第一項の規定による命令に違反したとき。
二第二十九条(第一号に係る部分に限る。)の規定に違反して、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げたとき。
三第三十四条第一項又は第二項の規定による命令に違反したとき。
不動産のヒント
第四十一条、四十二条は、罰則の例として掲げました。これ以降も細かに罰則が規定されているのでご留意ください。

細かいところは「国土交通省令」で定められる

不動産のヒント

ご覧頂いたように、賃貸住宅管理業法は、管理業務についてルールを定めることで、その業務の適切な運営を確保し、賃貸住宅の貸主の利益、ひいては借主の利益の保護を図っています。

これはとりもなおさず賃貸住宅管理業の健全な発展を図るための法律といえるでしょう。

細かな箇所については、「国土交通省令で定める」となっていますが、先述した通り2020年6月時点では、まだ該当する国土交通省令は定められていません。

「賃貸住宅管理業」に関わる規定については、1年以内に施行、サブリースの規定に関わる部分は、6ヶ月以内に施行の予定です。つまりそれまでに国土交通省令を定めるべく目下検討中ということです。

省令が定められたら、また当サイトでもお知らせさせて頂きたいと思います。