不動産の売買契約における瑕疵担保責任とは何か?その追及方法は?




不動産取引において売買契約を結ぶ際、多くの場合「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」についての条項が入っていると思います。

さて、その瑕疵担保責任とは、どのような責任のことでしょうか?

実際に、その責任をどのように追及、問うことができるのでしょうか?

その辺をまとめてみたいと思います。



「瑕疵担保責任」とは何か?

不動産の売買契約における「瑕疵担保責任」とは、「隠れた瑕疵」についての売主の責任のことを言います

「瑕疵」は欠陥のこと。

「隠れた」とは、買主がその不動産を購入する際に、「分からなかった」「気づかなかった」「知らなかった」ということを意味しています。

つまり、「隠れた瑕疵」とは「分からなかった、気づかなかった、知らなかった欠陥」ということになります。

が、ただ単に買主が「分からなかった」「気づかなかった」「知らなかった」のなら、それに該当するのかといえば、そうではありません。

もしそうだとすると、買主が

「気づかなかったんですけど!」

と言い張りさえすれば、何でもこれに当てはまるものとなってしまいます。

ですので、知らなかったことについて、買主に過失がないという条件が必要です。

では過失がないとはどういうことでしょうか?

不動産取引は人の生活の中における取引と呼ばれるものの中でも、かなり重要かつ大きな取引だと思います。

その取引をするにあたり、通常、一般的に、普通の人はそれなりに慎重かつ注意深い姿勢で臨むものだと思います。

そんな通常、一般的、普通の姿勢でいても、「分からなかった」「気づかなかった」「知らなかった」場合、その買主には過失がなかったとされるのです。

「フツー、気づくでしょ、それくらい?自分が購入する不動産なんだからさ」

こう言われてしまうような欠陥については「隠れた瑕疵」とされないことになります。

で、売主は「隠れた瑕疵」については、責任を負うことになります。

「きちんとした不動産なんだけど、後で隠れた瑕疵が見つかった場合は、条件はあるけれど、その瑕疵に応じてそれなりの責任を負いますから」

ということを約束することで買主も安心してその不動産を購入することができるというものです。

その売主の責任のことを「瑕疵担保責任」と言います。

ところで、「隠れた瑕疵」ではない瑕疵についてはどうなの?

つまり、「すぐに気づくような瑕疵」については売主は責任を取らないの?

という疑問があります。

そのような、一見して分かる瑕疵、すぐに気づくような瑕疵については、売買代金に既に反映されていると考えられるのが通常です。

売主「いや~、外壁も大分傷んでいますし、その分値引きさせてもらってますよ」

あるいは、売買条件の交渉の際の交渉の材料となるわけです。

つまり、その瑕疵について売買代金との兼ね合いで買主は納得の上で購入を決めたと解されるわけですね。

「瑕疵担保責任」の追及方法は大きく2通り

 

瑕疵担保責任の追及方法は大きく2通りあります。

一つは、損害賠償請求です

その瑕疵について、売主の費用負担の上で修繕などで損害の回復を求めるという形です。

買主としては、要はその瑕疵すなわち欠陥さえ無くなってしまえば、本来の目的である不動産の購入には差し支えがないならば、これで問題は解決するはずです。

しかしながら、瑕疵が「無くなる」ようにできる、損害の回復が可能な場合だけとは限りません。

場合によっては、手間や費用を掛けたところで回復できない損害ということもあります。

つまり、そもそも、その瑕疵があったら売買の目的を達せないような瑕疵の場合です。

この場合には、もうひとつの瑕疵担保責任の追及方法、契約を解除することが可能となります。また損害賠償請求も可能です。

逆に言えば、売買の目的を達し得る場合には、契約の解除ができなくて損害賠償請求で問題の解決を図るということです。

 

「瑕疵担保責任」の追及期間

 

「隠れた瑕疵」を発見しました。では、売主に瑕疵担保責任を追及しましょうとなった時、いつでもできるというものではありません。

瑕疵担保責任の追及可能な期間は決められています。

民法では、買主がその隠れた瑕疵を知った時から1年以内と定められています。

この期間内に、買主から売主に対し、瑕疵担保責任を追及する旨を明確に表明しなければなりません。

その上で、その不動産の引渡しを受けてから10年以内に訴訟提起をしなければならず、もしその期間内にできなければ消滅時効となってしまいます

なので、訴訟などはともかく、「隠れた瑕疵」を発見したら、すぐに瑕疵担保責任の追及のアクションが必要ということですね。

不動産業者が売主の場合の瑕疵担保責任

 

民法の瑕疵担保責任の規定は任意です。

売主と買主との間で売買契約を結ぶ際に、民法とは異なる規定にすることは可能です。

可能ということは買主側としては、特に注意したいところですね。

ただし、不動産業者(宅建業者)が自ら売主で、買主が不動産業者ではない、つまり一般の方である場合、売買契約で瑕疵担保責任について特約する場合には、買主サイドが不利にならないように制限がされています

瑕疵担保責任につき、民法の規定よりも買主に不利な特約をしてはならないということとされています。

買主にとって有利な規定、瑕疵担保責任を負う期間を引渡しの日から2年以上とする特約は可能です。

民法では1年ですから、2年以上となっている場合、それは良心的ともいえますね。

ちなみに、もし買主に不利な特約を定めても、それは無効となるのです。

 

瑕疵担保責任について「民法」より条文を引用

 

第570条【売主の瑕疵担保責任】

売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条【地上権等がある場合等における売主の担保責任】の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

 

第566条【地上権等がある場合等における売主の担保責任】

① 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

② 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

③ 前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

 

不動産業者が売主の場合の瑕疵担保責任について宅地建物取引業法より条文を引用

(瑕疵担保責任についての特約の制限)

第40条
  1. 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第570条において準用する同法第566条第3項 に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条 に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
  2. 前項の規定に反する特約は、無効とする。