賃貸借契約における「設備」と「残置(物)」の違いの重要性

設備と残置物






「設備」は大家さんの所有物

 

物件情報の詳細を見ると、「設備」という項目があります。

一般的に考えてみても、まあ、トイレとかユニットバスとか、住宅用の設備に関してなんだな、ということはおよそ分かりますし、その理解で間違いはありません。

ただ、マンションやアパートの部屋の賃貸借契約でいうところの「設備」とは、もう一歩踏み込んだ意味をもっています。

それは、「設備」は貸主の所有物であり、貸す部屋(あるいは建物の共有スペース)に付属している物であり、それも一緒に賃貸しますよ(利用して良いですよ)、という意味になるのです。

このことの、どの辺が突っ込んだ意味なのか?

所有物といえば、アパートそのものはもちろん大家さんの所有物ですよね。

例えば、その屋根が台風で壊れて雨漏りが起こるようになってしまったとします。

その時、大家さんは雨漏りする部屋の入居者に、

「屋根が壊れて雨漏りするから、修理代を負担してよ」

と言うでしょうか?

借主すなわち入居者は、きちんと住める部屋(雨漏りしない部屋)に対して家賃を支払って入居しているわけです。

ですから、屋根の修理なんて当然のようにしません

アパートは大家さんの所有物だから、アパートの屋根は大家さんの負担で修理する、というわけです。

物件情報に記載されている「設備」はこれと同じことです。

つまり、きちんとその「設備」が利用できる状態で、貸主は入居者に貸すということです。

例えば、「設備」としての扱いでガスコンロがあったとします。

これがある時、着火しなくなってしまった。

入居者は故意に壊したり、過失があって壊してしまったのでなければ、貸主に対して「設備」であるガスコンロを直すように請求できるのです。

つまり、ガスコンロの修理代あるいは交換費を負担しなくて良いということです。

それを条件に賃貸借契約を結んでいるということになるのです。

そして、逆に入居者が故意や過失で壊してしまった場合は、修理・交換を請求されるということです。

部屋そのものと同じですね。

入居者は自分の物であれば、仮に壊れてしまっても、直さずに放置する、あるいは廃棄するということが可能ですが、「設備」として扱われている物に対してそれはできません

「設備」としてあったガスコンロが気に入らず、自分が持ち込んだガスコンロを使用していたとしても、「設備」のガスコンロは廃棄せずにきちんと保管しておかなけれななりません

また転居する際に、「設備」は転居先に持って行くこともできません。

「設備」は貸主の物、だからです。

「残置(物)」は前の借主が置いて行った物

 

ちなみに部屋の賃貸借の際、「設備」に対する取り扱いを示す言葉に「残置(物)・ざんち(ぶつ)」があります

これは、前の入居者などが置いて行った物という意味です。

残置物は、もし良かったらそのまま使ってください、という感じで置いてあるものです。

ガスコンロが残置されている場合、そのガスコンロを使って良いし、廃棄しても良いというわけです。

残置物が壊れてしまった場合、借主は貸主に修理を請求できません。

借主がまた故意過失により壊してしまった場合、修理する義務も、貸主より修理を請求されるということもありません。

このように、ガスコンロ、エアコン、照明器具など借りる部屋の付属物は、同じ物であっても賃貸借契約において「設備」とそれに対する「残置(物)」であるかにより、はっきりとその取扱いが異なるため、契約する際には明確に認識しておく必要があります