賃貸物件情報、本当にまだ空室なのか?それとも「おとり広告」か?

電話問い合わせのイメージ




問い合わせた賃貸物件に関し「既に他の人で決まってしまった」と言われると、「おとり広告」なのかと怪しむ気持ちになるものです。

率直なところ「おとり広告」の場合も十分にあり得ます。

ところが、良いか悪いかは別として不動産業界の仕組み上、決して「おとり広告」ではなくても、こういったケースが起こりやすいという背景があるのです。

ちょっとそれを解説してみましょう。



同じ部屋を複数の不動産業者が取り扱っている

 

インターネットの物件検索サイトなどで探していると、2社以上の不動産屋が同じ賃貸物件の入居募集広告を出していることがよくありませんか?

検索条件を絞っていくと、たとえばメゾン〇〇201号室という部屋に行きあたりました。

ところが、そのメゾン○○201号室の物件情報は、A不動産屋からもB不動産屋からも、C不動産屋からも出されています。

敷金、礼金、家賃も全部同じ条件(違いがあるとすれば、仲介手数料が異なる場合があるくらい)。

「なんだ、これみんな同じ物件じゃん。」と。

これ、どういうことかといえば、不動産業界の仕組みからよくあることなのです。

パターンは大まかに二つ。

一つは、貸主つまり大家さんが空室に早く入居者を決めたくて、複数の不動産屋に仲介を依頼している場合

各々の不動産屋は、依頼された物件の広告をそれぞれ別々に出します。

当然、原則的には入居条件は同じ(時折、微妙に異なる条件になっているケースもあります)。

もう一つのパターンは、不動産業界独特の仕組み

貸主から依頼された不動産業者や管理会社が、不動産業者の情報ネットワークでその物件情報を流します。

この業者を立場上「元付(もとづけ)業者」と呼んでいます。

元付業者は自社だけでお客である入居者を探すこともできますが、不動産業者の情報ネットワークを使うことで、他の業者にお客を連れて来てもらうことができます。

お客を連れて来る業者のことを、その立場上「客付(きゃくづけ)業者」と呼んでいます。

この場合、元付業者は貸主からだけ仲介手数料をもらい、お客を連れて来た業者は入居者から仲介手数料をもらうという形式がほとんどです。

不動産業者の情報ネットワークで元付業者の流した物件情報を見た客付業者は、地域性や自社の顧客層などを鑑み「お、この物件、ウチで入居者を探せるかもしれないぞ」と思うと、元付業者の承諾を得た上で、その賃貸物件の広告を自社の負担で出すことができます。

つまり元付業者が複数の客付業者に承諾している場合、同じ物件情報や広告が複数の不動産屋によって出されることになるのです。

また客付業者はお店のカウンター等で目の前のお客に、不動産業者の情報ネットワークで見つけた物件情報を紹介し話を進めていくことができます。

これら二つのパターンが掛け合わせになっている場合もあります。

つまり貸主が依頼した複数の不動産屋=元付業者と、その各々の元付業者が流した情報を取り扱う複数の客付業者。

こうなるとその物件情報はかなりの拡散状態です。

いずれにしても、こんな仕組みがあるためどういうことが起こるかというと、一つの賃貸物件の情報が、あちらこちらの不動産屋において取り扱われ、実際に同時進行的に複数のお客によって契約が検討されているという状態が起こります。

空室が埋まってしまったことを不動産業者もすぐには分からない!?

 

ネット上でマークしている程度のお客、既に内覧を済ませているお客、不動産屋と条件に関して詰めているお客。お客によってその賃貸借契約までのステージは様々です。

午前中に空室だと確認した賃貸物件を今日、その日に内覧をしたお客が、その場で「ここに決めました。入居申込をしたいです」と即決し、諸手続きを迅速に行い賃貸借契約まで漕ぎ着いてしまう場合も普通にあります。

賃貸物件は、賃貸借契約が結ばれると当然そこで募集はおしまいです。

いわばその時点で「売り切れ」となるわけです。

しかし、さて、複数の不動産屋がその物件を取り扱っていましたが、元付業者と賃貸借契約を成立させた(仲介した)客付業者以外の不動産屋は、この募集終了をどうやって知り得るのでしょうか?

その物件を取り扱っていた不動産業者で、仲介出来なかった業者は、募集が終了した物件でお客に問い合わせを受けないように、即座に自社がインターネット上や店頭に出している入居者募集広告を下げる必要があります

そのためには、いち早くその物件が募集終了になったことを知る必要があります

しかしながら、ここで一つの問題があります。

貸主や元付業者は、その物件が募集終了になったからといって、実際に取り扱っている他の不動産業者に必ずしも知らせてはくれないのです。

もちろん、関係性やキャラクター、元付業者の文化によっては、懇切丁寧にも「入居者が他で決まってしまいました」と一報を得られることもあります。

ですが、お客を連れて来られなかった不動産業者に対していちいち一報などしないというケースの方が多いのです。

不動産業者によって取り扱う情報の「鮮度」が違う?

 

となると、不動産業者は、自社がインターネット上等に広告を出している物件をはじめ、取り扱っている物件に関し、常日頃「まだ空いているか」を確認しておく必要があるわけです。

そうすることによって、きちんと「本当に入居者募集中の物件」が取り揃えられた状態が保たれます。

ところが、この確認作業、1本の電話で済むことなのですが、取り扱う物件はおそらく10や20ではないので、結構煩雑な作業なのです(この確認作業をアウトソーシングで引き受ける専門業者が存在するくらいです)。

であることから、不動産業者により、この確認作業への姿勢は異なるようになります

定期的に頻繁に確認している業者、少し間隔を置きながら確認している業者。

ほとんど確認作業は行わず、不動産業者の情報ネットワーク上で見かけなくなったら、広告を下げる業者。

中には、行き当たりばったりのほぼ放置状態で、もう数ヶ月前に入居者が決まってしまった物件情報も平気で出している業者も

いわば、不動産業者によって情報の「鮮度」の良し悪しがあるというわけです。

そして実はこのような背景が、「おとり広告」と訝しがりたくなるような不動産業者の対応の背景となっている場合があるのです。

問い合わせの電話をすると、少し保留にされて

担当者「あ~、その物件他の方で決まってしまいました」

お客「じゃあ、こっちの物件は?」

担当者「ちょっとお待ちください」

担当者「すみません、そちらの方も・・・」

お客「はあ、そうですか」

担当者「他にも沢山ございますので、一度お店の方までいらっしゃいませんか?」

お客「・・・」

「おとり広告」を故意に行なっているわけではなく、頻度ある確認作業を行っていないがためのツライ対応・・・

悪意はないとはいえ物件情報の「鮮度」が低い不動産業者と、常日頃から努力して入居者が決まってしまった物件情報はインターネット上や店頭から、タイムリーに下げ、確実に募集中の物件情報を揃えている、「鮮度」の高い不動産業者

問い合わせへの不動産業者の対応から、その不動産業者の取り扱う情報への姿勢が伺えるものです。