住宅ローンを考えるとき、はじめに声を大にして注意したいのが、その金額に対する「感覚」です。
購入する不動産の価格ももちろんそうですが、住宅ローンの数字は○千万円、○百万円単位。
この高額の数字を目にして物を考えていると、金額に対する感覚が普段とは少し異なってくるという人は本当に多いように見受けられます。
もっともこれは仕方ないことといえます。
人はあくまで相対的に物事を把握しようとする傾向があります。
3500万円 3600万円 3700万円・・・という価格と、4500万円 4600万円 4700万円という価格が並んでいると、それぞれが異なる金額であることはもちろん把握できますが、3500万円と3600万円は「同じ価格帯」という括りで把握してしまわないでしょうか?
その100万円の差を「絶対的」には把握しないのです。
いや、分かっているといいながらも、どこか実感がないというか、小差のような感じがしてしまわないでしょうか?
しかし、それを普段の生活の「実感」を思い出してみてください。
毎月5万円のお金を20か月に渡り貯蓄するのはどんな感覚?
毎月自由に使えるお金が2万円、向こう50か月増えたとしたらどんな感覚?
契約期間2年間の賃貸住宅で家賃が今より4万円高いとしたらどんな感覚?
まあ、どんな例でも構わないのですが、実生活で100万円のリアルな感覚を想起してみてください。
一方で、3500万円と3600万円の差の100万円という金額にはどんな感覚を持つでしょうか?
「100万円ケチって、後で後悔するくらいだったら・・・」
こんな言葉で片づけられる感覚になっていませんか?
生活費を誰かに100万円借りる時の感覚を想像してみてください。
親御さんに、友人に、上司に100万円借りに行く時の感覚。
これ、すごい緊張感ではないですか?
でも、住宅ローンになると、3500万円借りるのも3600万円借りるのも大して変わりない。100万円少なく借りて余裕をなくすより、少し多めに借りておいた方が良くない?
そんな感覚になっていませんか?
住宅ローンを組んで不動産を購入することは悪いことではありません。
でも、「お金を借りて買い物をする」という原点と、その金額に対して自分の実生活における感覚できちんと考えるという原点、この二つを大前提に立ち返って住宅ローンについて考えるようにしてください。