「居抜き物件」造作譲渡を受けるときに見落としがちな注意点とは?




希望していた「居抜き物件」に、晴れて賃貸借契約および造作譲渡契約に向けて話を進めている際に見落としがちですが重要な注意点が2つあります

これらはどちらも確認を放っておくと後々トラブルに結びつく要素を含んでいますので、該当することがありそうな場合は、事前に不動産業者担当者に確認、交渉をしておくと良いと思います。



自分が不要な造作譲渡物の処理の確認

 

譲り受けたい物は念入りにチェックする一方で意外と見落としがちな注意点の一つ目が、不要な物をどうするか?ということの確認です。

「造作譲渡」を逆手に解釈して「全部そのままに残置して退去して良い」と捉えている前借主も多いのが実情です

立場変われば何とやらで、前借主としては、自分が必要な物は退去する際に持って行き、不要な物はそのまま放置したいという心理が働きます。

譲渡されても使わない予定の家電、照明器具、食器、調理器具・・・

これらは前借主としても、新借主すなわち譲渡される側としてもいわば廃棄物となります。

造作譲渡項目書(リスト)の作成で、必ず置いていくべき物の整理をする一方で、そのリストに記載されない物の処理について不動産業者を介して確認、交渉しておく必要があります。

実情としては、「いろいろ譲る代わりに要らない物も多少は引き取り、新借主がコストをかけて廃棄する」という条件も受け入れざるをえないことも多いといえます。

これはその居抜き物件の前借主がまだ退去していない時点で物件を検討しているか、既に退去後にその物件を検討しているかなど、状況によっても変わることでもあるので臨機応変に対応する必要があります。

それでも、交渉としては不要な物は前借主に原則的に持って出て行ってもらう、前借主が既に退去後であれば貸主に廃棄してもらうというスタンスが必要だと思います。

特に明らかにゴミだと分かる物まで放置して退去し、新借主が廃棄処分するハメになるというケースも少なからずあります。

その場合はもちろん相応のコストが発生します。

倫理的にこれらはあくまでも前借主が処理すべきことと思いますが、既に物件の引渡しを受けた段階で不動産業者に苦情として申し出ても、「これもあれも、すべてひっくるめて造作譲渡」という理屈でなかなか対応しないと思っておいた方が良いかもしれません。

これも「造作譲渡項目書(リスト)」を用いて造作譲渡契約するまでに、確認および交渉を行っておけば不動産業者も貸主や前借主と前もって話し合いが出来る分、解決できることが多くなるといえます。

造作譲渡物か廃棄物か?

店舗物件の賃貸借の引渡しは、居住用のそれとは異なる

居住用物件すなわち住居として部屋を賃借する場合、引渡しの際に前借主の廃棄物が室内に残っているということは基本的にはありません。

また万が一そんなことがあった場合には、不動産業者あるいは大家さんが慌てて片付けてくれるはずです。

そしてその感覚が通常といえるでしょう。

しかし、その通常の感覚で店舗物件、特に居抜き物件を賃借すると理不尽だと思えるような状況もあります

例えば、飲食店を居抜きで引き渡されたら、フライヤーの中には真っ黒な油が残っていたり、グリストラップにはヘドロが堆積して地獄絵図のようになっていたり・・・

仲介する不動産業者によっても見解は異なりますが、相談すると

「それが居抜きってもんだよ!」

と一蹴する業者も多いと思います。

(ちなみにグリストラップを専門業者にバキューム清掃して貰うと容量や状態によりますが5万円程度からの費用が掛かります!)

いずれにしても、居住用物件の賃借同様の引渡しと同様に考えていると思わぬ出費に遭遇することになりますので、事前に念入りに確認と交渉を行う姿勢を持つことが肝要と思われます。

造作譲渡で譲り受ける物の本当の所有権者は?

 

前借主から「全部譲りますよ」と言われて譲り受ける物。

見落としがちな注意点の二つ目がそれらのそもそもの所有権について。

信じがたいことですが、その一部がそもそも前借主の物ではなかったというトラブルも少なくありません

一番多いのは所有権がリース会社にあるという場合

前借主もリース会社からあくまでも貸与されている物を譲り受けるということはあり得ません。

リース会社はその物を早々に引き上げにかかります。

このケースのほとんどの場合、退去のドサクサで前借主も混乱して自分の物かリース品か分からなくなってしまい(本当はあってはなりませんが)、あたかも自分の物のように譲ってしまうようです。まあ、悪意はないということです。

ですが、このような事態は避けなければなりません。当たり前のことのようですが、造作譲渡項目書(リスト)と造作、器機類等を照らし合わせる際に、きちんと所有権者を確認しておく必要があります

「これらに、リースを受けている物がありますか?」

という聞き方で良いと思います。

リース品の場合、その物に関してはリースを引き継ぐかどうかという判断、引き継ぐ際にはその手続きが必要となります。

また別のケースでは、所有権者が貸主であるという場合もあります

これはそもそも建物賃貸借契約上、「設備」等で明らかにされることでもあるので、ケースとしてはそんなに多くはありませんが、筆者が関わった事案でも、前借主が前々借主から譲り受けた物と勘違いして賃貸借契約上の「設備」つまり貸主所有権物を取り外して廃棄してしまったということがありました。

居抜きの賃貸借契約が連続していると起こり得るケースともいえます。