戸建ての中古住宅、建物の価格の査定方法の実情は?

戸建て中古住宅の価格査定




中古住宅、とりわけ戸建ての中古住宅を売却したいと考えた時、最も気になるのがその売却価格です。

特に長年愛着をもって住んだ自宅を売却するとなると、その想い入れの分、適正な売却価格が分かりにくくなります。

往々にしてあるのは、不動産業者から示された自宅の査定価格に、売却希望者が憤慨するというケースです。

「建てた時にウン千万も掛けた注文住宅だぞ!まだそんなに傷んでいないし、十分に価値はあるはずだ。そんな二束三文のはずはない!」

こんな気持ちになるのも理解できます。

ただ、実情からするとそのような価格査定となることが多いと思います。

では、戸建ての中古住宅の価格査定、不動産業者は一般的にどのようにやっているのか解説してみたいと思います。

ちなみに不動産の価格査定は、決まった一つの方法をみながみな採用しているわけではありません。あくまで一般論、また基本的な方法論となります。

ですが、それを知っておくことで、実際に建物を売却する際の対策のヒントとなることでしょう。



再建築費と築年数に基づく価格査定

 

戸建ての中古住宅の価格査定を行う場合、まずその中古住宅の建築コストを査定します。

建築コストは時の経過とともに変動するので、新築当時に実際に掛かったコストがそのまま現在にも掛かるコストとはならないことが多いと思います。

ですので、現在、仮に同じ建物を建てるとするならば、どれくらいのコストが掛かるかという「再建築費」の査定を行うことが一般的には多いといえます。

次にその「再建築費」について新築時からの経過年数を考慮して減額するのです。

中古住宅である以上、当然に新築ではないわけですから、「古くなった分」を差し引くということですね。

戸建ての中古住宅の価格査定の基本的な考え方は簡単にいうとこんなところです。

中古住宅の価格=「再建築費」から経過年数を考慮して減額した価格

では、その「経過年数を考慮して減額」といいますが、実際には何にもとづいて減額分を決めるのでしょうか?

耐用年数と残価率

 

経過年数を考慮して減額分を決める際、ひとことでいうならば、その建物の耐用年数に対して、どれくらいの経過年数か?という割合から導き出すということをします。

耐用年数とは、本来その建物が「どれくらいもつのか?」ということを表した年数といえますが、そうなるとなかなか判定が難しいので、税法や会計実務での「減価償却資産の耐用年数表」が使われることが多いといえます。

一方、残価率とは、その耐用年数が満了した時の残存価格の再建築費に対する割合です。

ゼロとするケース、10%とするケース、5%とするケースがあります

実際の仲介市場でいえば、木造住宅であれば耐用年数を満了した時点でゼロとする不動産業者が多いように感じます。

また、耐用年数云々だけではなく、実際の建物の傷み具合やメンテナンス状況をよく調査して調整することとなります。

【住宅の法定耐用年数】

構造 住宅用
SRC  RC造等 47年
れんが ブロック造等 38年
S造・骨格材厚さ4㎜超 34年
S造・骨格材厚さ3㎜超 27年
S造・骨格材厚さ3㎜以下 19年
W造等 22年
木造モルタル造 20年

 

「現価率」と戸建ての中古住宅の査定方法

 

戸建ての中古住宅を実際に査定する際、不動産業者の多くは次の式をその基本として使用しているのではないでしょうか。

中古住宅価格=構造・工法別の建築工事費単価×延べ床面積×「現価率」

「現価率」とは、新築当時の価値を100%として現在の価値をその何パーセントかで表した数値です。

「現価率」=1-(経過年数×90%)÷法定耐用年数  ※「残価率」を10%と考慮した場合

「現価率」=1-経過年数÷法定耐用年数 ※「残価率」をゼロとした場合

 

つまり残価率をゼロで考えると、法定耐用年数が過ぎた時点で、中古住宅の価値はゼロとなるというわけです。

これが実情です。

(とはいえ、これはこれで昨今問題となっております。その辺は別記事で)

価格ゼロ査定の戸建て中古住宅は土地価格の足を引っ張る

 

さて、戸建ての中古住宅の価格査定について解説しましたが、実際の不動産取引では、戸建ての中古住宅とその土地、一体として売買されることがほとんどだと思います。

そこで問題になるのが、価格ゼロと査定された戸建て中古住宅と土地一体の売却の場合です。

最近、国の政策と共に中古住宅の活用、リノベーション等声高に叫ばれるようになって来ましたので、今後は傾向も変わりつつはあります。

しかしながら現状、買主としては、法定耐用年数すなわち木造住宅であれば20年以上他人が住んだ家に敢えて住みたいと考える人は、まだまだそう多くはありません。

買主の多くは、出来れば「更地(さらち)」すなわち建物が建っていない状態での土地を購入の上、注文住宅を建てたいと考えます。

ですので、中古住宅が残存した状態の土地に対しては、一度その建物を解体撤去するという手間とコストが掛かるというデメリットのある土地という認識に立ちます。

木造の住宅の取り壊し費用は、その住宅の状態や構造によっても異なりますが、坪単価およそ3万円~5万円くらいが相場ではないでしょうか。

ですので、35坪ほどの取り壊しとなるとざっと100万円から150万円ほどのコストが掛かるというわけです。

で、当然このコストを誰が負担するのかという話になります。

売主としては、「本当は価値あるもの」をタダ同然で売ったという感覚になっています。

買主としては、「手間と時間とコストの掛かる余計な物」という感覚です。

結果としてはおよそ土地費用から建物の取り壊し費用を差し引いた形での売却となることが多いと思います。

自分たちが、つい今しがたまで住んでいた家は、「住んでいられる」という点で価値がゼロのはずはありません。

ちゃんと家として機能してきたし、これからもある一定の期間であれば機能するでしょう。

それが戸建ての中古住宅の価格査定ではゼロとなってしまう。

何とも無念という気持ちを味わう方も多いはず。

売却する時点で築50年、もうボロボロになっている家であればいざ知らず、築25年くらいの中古住宅であれば、なおさらでしょう。

無念の気持ちも強いでしょうし、実際にまだ見た目も十分価値を感じられる家も少なくありません。

ですが、残念ながら実情の多くは無念な結果になることが多いようです。

ただ、先述しましたが、近ごろそんな中古住宅が見直される傾向があるのです。

こちろの記事も合わせてご覧ください。

戸建ての中古住宅の価格査定方法が変わりつつある件