物件情報を見ていると管理費・共益費の設定がある物件とない物件があります。
また設定のある物件でも、管理費・共益費の金額は高い安いの幅が結構あります。
この違いはいったい何なのでしょうか?
管理費・共益費とは何かということと合わせて述べたいと思います。
目次
「管理費」「共益費」は「賃料(家賃)」と合算で掛かる費用
まず超基本的なこと。
例えば物件情報にこんな記載がされています。
- 賃料 月額85,000円
- 管理費・共益費 月額5,000円
この場合、月々に家賃として支払う金額は90,000円です。
毎月掛かります。
大抵、振込先は同じです。
だから、物件情報に別々の欄に記載されていても、支払う時の感覚は「合算して家賃」という感覚になります。
ですので、物件を検討する際にもこの感覚で探してください。
どういうことかというと、
- 賃料90,000円
- 管理費・共益費(設定なし)
という物件と、
- 賃料80,000円
- 管理費・共益費10,000円
という物件があって、立地や築年数、設備その他条件がほぼ一緒であると、一瞬、後者の物件の方が「安い!」という錯覚に陥りますが、なんてことはありません。
支払う時は同じ90,000円。
ただし、敷金や礼金が「賃料の○ヶ月分」となっている場合、賃料にはあくまで管理費・共益費は入りませんので、入居時初期費用は確かに後者の方がお得になります。
賃貸物件における「管理費」「共益費」の意味
居住用の賃貸物件は一戸建てを除けば、マンションやアパート等の「集合住宅」ということなります。
集合住宅は、借主が賃料を支払い専有する自分のお部屋以外にも「共用部」があります。
簡単にいえばエントランスや廊下、階段、エレベータ、自転車置き場、屋上などそこに住んでいる人みんなが使うところです。
「管理費」「共益費」は、それら共用部、建物全体の管理のためにかかる費用を各部屋で分担する名目の費用です。
エントランスや廊下などの電気代であるとか、清掃費用、エレベータの電気代やメンテナンス費等ということですね。
ところで「管理費」と「共益費」の違いは何か?ということがありますが、ほぼ同じ意味で使われていると思って良いでしょう。
「共益費」の方が言葉の指し示す範囲が狭く、「共益」つまり廊下の電気や掃除などの費用を指し示していて、「管理費」の方はもっと漠然と建物全体の「管理」という広い意味で使われるという傾向はあります。
「管理費」「共益費」の設定がない物件の共用部は管理されていない!?
「管理費」「共益費」が何を指し示すのかは分かりました。
では、物件情報で管理費・共益費の設定のない物件はどうでしょうか?
廊下の電気は切れっぱなし。エレベーターはメンテナンスされていないのですぐに壊れる。
ということは原則的にはない、です。
家賃を支払ってもらう際に、建物を管理する場合には管理費を受け取ることができる、あるいは、「賃料」と「管理費」「共益費」を別々の名目で徴収しなければならないという決まりはありません。
貸主側としては、どれくらい行き届いた管理をするのかという違いこそあれど、賃貸物件としての建物の大きな意味での管理は行わざるをえません。
管理費・共益費として徴収していない場合は、管理に掛かるその費用は賃料から負担していることになります。
つまり「賃料に含まれている」ということです。
ですので、物件情報上で「管理費」「共益費」の設定がないからといって、それは管理されていない荒れ果てた物件ということはないということです。
実際には、管理費・共益費の設定があるなしに関わらず、管理が「行き届いているか、いないか」の違いは物件ごとにあります。
共用部分を大家さんがせっせと毎日欠かさず掃除している物件は、やはりいつも気持ちのよいものです。
逆に管理会社にまかせっきり、管理会社も予算上かどうなのか、ごくたまにしか清掃に行かないような物件は、エントランスの郵便受けからこぼれたチラシがそこかしこに散乱し、階段の蛍光灯は長らく切れているなど荒んだ状態になります。
これらはむしろ物件の内覧時にご自身の目で確認すことです。
「管理費」「共益費」が高い物件の真実とは?
実際には、管理費・共益費が「え、そんなにかかるの??」と思うくらい高額設定な気がする物件もあります。
厳密に「管理」にどれくらいの費用がかかるかどうかということを割り出して管理費・共益費を設定しているとは限りません。
高い管理費・共益費の理由は大きく三つです。
- 本当に行き届いた管理をするためにコストが掛かっている
- 「賃料」を少しでも安く見せたい
- 物件が借地上に建っており地代分が掛かる等他の隠れた要素がある
2つめについて説明します。
インターネットの物件検索ポータルサイトで条件検索する際、サイトによりますが賃料の幅を選ぶようになっています。
たとえば賃料で10万円を考えている物件をそのまま賃料を10万円、管理費・共益費0円で出すとします。
一方、あるユーザーは家賃9万円以下で物件を探しているとします。
そして、そのまま賃料9万円以下で物件検索をかけるとします。
この場合、賃料10万円の物件は検索結果に出ません。
しかし、同じ物件でも賃料9万円、管理費・共益費1万円で出すと、賃料9万円以下の検索結果に出し、アピールすることができます。
もちろん「管理費・共益費含む」という条件付けをすると同じことではありますが。
こんな背景から総額10万円を考えている物件でも、少しでも賃料を安く見せようとした結果、管理費・共益費の割合が高くなってしまったということがあります。
ただ、先述したようにこの場合、管理費・共益費は入居時の初期費用である敷金、礼金、家賃保証料の計算ベースからは外されるのでお得となるといえます。
- 敷金=賃料の1か月分
- 礼金=賃料の1か月分
- 保証料=賃料の1か月分
という条件の物件の場合、賃料10万円、管理費・共益費0円の場合、上記3つの費用が30万円掛かりますが、賃料8万5千円、管理費・共益費1万5千円の物件の場合、25万5千円となるわけですね。
月々の支払いに関しては、賃料と管理費・共益費合わせた金額が家賃。
管理費・共益費は家賃の一部。
こんな認識で良いと思います。